16年7月15.16日に登った記録です。
竜喰山の向こうに大きな飛龍山
西御殿岩から

160715飛龍天平01


こんにちわ、亀足隊長です。
ここのところ計画的に、長めの尾根を歩いてきました。
それは今回の山行きのため。
小生の股関節には、かなりハードルが高いのですがこの「丹波天平」(たばてんでいろ)を一度歩きたかったのです。
2002年に「鹿倉山」(ししくらやま)から望んだとき、大きな「飛竜山」(ひりゅうさん)から落ちる伸びやかな丹波天平の印象が忘れられませんでした。
どうせなら、その飛竜山(2077m)から降りて行きたいと考えると、けしてアプローチのいい山ではないので、その思いは延び々々・・・
まぁ、アルプスなどに優先順が負けてしまった事情もありますが💦
今年の冬あたりから「ひょっとして行けるかも。」とムクムク思いが湧き上がり、リハトレの目標となっていました。
さあ、どうアプローチをとるかな?
当然、今の小生では日帰りはムリ。重荷もダメなんでテン泊もムリ。
ってことは、「三条の湯」にお世話になるしかありません。
昔はほとんどやらなかった小屋泊を決意すると、ルートはあっさり決まりました。
後山林道→三条の湯で湯浴み&小屋食三昧→飛龍山→サオラ峠→丹波天平→親川
これでやっと憧れの幽玄の森を歩くことができます。

◎歩いたルート
160715飛龍天平02

◎亀足コースタイム(休憩は含んでいません)
あくまでも小生の足弱+撮影ペースなので、一般タイムとは異なります。

○一日目
鴨沢西バス停<15分>お祭<80分>塩沢橋<70分>林道終点<40分>三条の湯(小屋泊)
Total=3H25M
○二日目
三条の湯<105分>カンバ谷<60分>北天のタル<45分>飛龍山<20分>飛龍権現<45分>前飛龍分岐<60分>熊倉山<30分>サオラ峠<40分>丹波天平<40分>標高892m地点<40分>親川バス停
Total=8H05M
総Total=11H30M

◎距離25.4km 累計標高差(+)2047m、(-)2036m


今日は林道歩きを主として距離10.6km累計標高793mの山旅。
三条の湯(さんじょうのゆ)を目指す。
奥多摩駅からのバスで、終点の鴨沢西停留所に降り立った。
お祭までは、おそよ15分の国道歩きとなる。
空模様は今にも泣き出しそう・・・
渡渉も岩場もなく行程には問題ないが、やはり濡れるのはイヤだ。

お祭のバス停と、その上にある「お祭山荘」の前を通り過ぎる。
今日は小屋番不在のようだ。
程なく歩くと右手に後山林道が別れ、そちらに足を向ける。
この林道も、大夫整備が進んだようだ。
以前は路面に落石がゴロゴロしていて、頭上を気にしながら進んだものだが、今は防石ネットで覆われるところが多い。
林業などに従事される人の為であろうが、ありがたいことである。
おっと、雨が本降りとなってきた・・・
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雨の中、黙々と林道歩きは続く。
仕方がないので、買ったばかりのレインウエアを着込む。
防水透湿性のテスト・・・
まだ雨の日には使いたくなかった(笑)
しかし、こんな日に温泉が迎えてくれるなんて夢のようだぞ。
もう、頭の中は湯浴呑酒でいっぱいになっている💦
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レインウエアーの調子・・・
最高だ!伸縮素材は思った以上に軽くて動きやすい❤
新品だから撥水はいいだろうが、透湿も快適だ~
昨今の新素材開発はスゴイッ!

後山川の支流、片倉谷の橋を渡ると突然ゲートが現れる。
この先は車が入れず、林道工事が行われている。
一人たたずむ若い警備員さんに「ごくろうさま」と声をかけて通していただく。
こんな山の中に一人で警備、それも雨の中・・・

右からのシオ沢と合すると、そこは石尾根の奥多摩小屋へと続くヨモギ尾根の取り付き口。
このルートも歩きたいルートではあるが、なかなか踏み入れないトレイルの一つである。
昨今、奥多摩小屋が老朽化のために取り壊しが検討されているという。
なくなる前に、このルートを歩いておきたいものである。
不肖小生の大好きなテン場も心配だ。

トボトボと雨の中の林道歩きは続く。
左手の丹波天平方面を見上げたり枝沢の谷あいを覗いたりと、飽きるというほどでもない。下から後山川もせり上がり沢筋も細くなって来ると、林道終点ももうすぐだ。
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林道の終点からは、やっと沢筋をたどる登山道となる。
もう三条の湯までは30分の道のり・・・
のはずであった💦
でたっ、股関節のシビレ!
登りでシビレるのは、赤杭尾根のときから2回目💧
おいおい、どうするんだこれから。
遅々たる歩みで、なんとか三条の湯にたどり着くも明日の行程が心配になるのである。
今回は湯治だけになってしまうのか?
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何度か軒先を通って通過したことがある三条の湯。
テン場もおろか宿泊するのは初めてである。
もちろん「湯」は気になっていたところ。
びしょ濡れになった登山者には、この上ない癒やしとなるはずだ。

受付を済ますと清潔な大部屋に案内され、すぐに薪ストーブを点火してくれる。
ありがたい!
すぐに濡れた装備を吊らせていただく。
この日の宿泊客は不肖小生のみ。
この広い部屋を独占なのだ。
団体生活が嫌いな小生は歓喜なのであるが、広すぎて寂しいちゃあ寂しい・・・
いったい何処に布団を敷こうか躊躇する💦
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三条の湯の源泉は10.5度の鉱泉。
宿泊客が小生だけであるのに湯を沸かしてくれるとの由。
この雨の中、湯がなければ暴れるところでもあるが、不肖小生のために恐縮至極なのである。
湯が湧くまで一杯やることにする。
シビレが辛いので動きたくはないのだが、コレだけは別である。
大部屋から軒下に出てコッハを広げていると小屋番さん・・・
「中でやりなよ」
ありがたいお言葉をいただく。
遠慮なく食堂へ入って火を使わせてもらう。
清潔な食堂

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アテにはフリーズドライパスタ

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窓からノンビリと雨の森を眺め、舌を濡らしていると・・・
「お風呂が湧きました」と小屋番さんの声。
よっしゃよっしゃ、お待ちかねの湯浴み~
シビレる足を引きずって、小屋裏直下の浴場へと降りていく。

三条の湯の由来は・・・・
この山中で狩猟し鹿に傷を負わせ追跡したところ、その鹿が傷を湧き出ている水に浸して、あたかも治療するかの様子であるのを発見した。
この水を近在の人が飲んだり、また湯を沸かして入浴すると創傷・冷え性・胃腸病・皮膚病・神経痛・リウマチ等に特効があった。

(初代小屋番 木下孟一氏「三條の湯の由来」より抜粋)

・・・とのことである。
不肖小生のシビレには効果があるだろうか。
いや明日の山歩きのために、絶対効いてほしいのである。
とにかくユックリ温まろう。
傷を癒やす鹿ならぬ亀足隊長なのであった。
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ぷふぁあ~

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良い気分で風呂からあがって、またチビチビやってると食事ができた。
小屋食をとるなんて、ほとんどなかったのでチト興奮気味💦
山菜の天ぷら、山女魚の甘露煮・・・ん?これは鹿のロースト!
うむむ~贅沢だ。
「すみません。日本酒ありますか?」
山での小屋食、それは特上の酒のアテなのであるな💦
「ごはん、オカワリしてくださいね。」
「いえいえ、もうノンベには充分すぎます。」
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不肖小生の酩酊とともに、水源の湯治宿は暮れゆくのである。
再び湯船に身を沈めながら霧に覆われた森を眺める。
いつの間にか雨は上がったようだ。
鹿の短い鳴き声やコノハズクのつぶやき・・・
夜になっても森は動いているのである。
・・・zzzzzz

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【三条の湯 温泉DATA】

泉質: 単純硫黄冷鉱泉
効能: 創傷・冷え性・胃腸病・皮膚病・神経痛・リウマチ等
pH: 10.3
泉温: 10.5 °C
湧出量: 毎分4リットル
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明日へ つづく
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